書感

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「花を売らない花売り娘の物語」権八成樹
2005年8月に刊行されたビジネス書です。サブタイトルはハイタッチ・マーケティング論。

ビジネス書ではありますが、その出発点が一般的な書籍とは異なります。ビジネスありきではなく、人間ありきで話が進められています。ビジネスパーソンである前に、人生の旅人だと。

他人を見る時に、枠にはめると分かりやすいことは確かです。サラリーマン、芸能人、スポーツ選手、主婦、学生。それぞれのタイプの思考や生活はテレビや新聞によって、大体の予想が付けられます。

しかし、これら全ての人はサラリーマンや主婦である前に、人生の旅人である。と言っています。一人の人間が人生を歩む中で、たまたまその時の状況を言葉にするとサラリーマンや主婦と言っているだけだと。こう言われると、何故だか勇気が湧いてきます。型にはまりがちな日常から少し開放され、もっと広い視野を持とうという前向きな姿勢にしてくれました。



この本はマーケティングの本ですが、最近のトレンドを追うものではなく、もっと長いスパンで通用する概念的な事柄を多く含んでいます。その代表例がタイトルの「花を売らない花売り娘の物語」です。

人は花屋を訪れる時、花が欲しくて訪れるのでしょうか?表面的にはその通りですがもう少し考えてみると違うのです。

例えば、お見舞いに行くので明るい花が欲しい場合、「花が欲しい」と言うよりも、花によって「病気の友人が元気になって欲しい」という願いがあります。

そうか、そういうことか。と読んでいて非常に感心しました。人は車が欲しくて車を買うのではなく、ステータスやドライブの爽快感を得るために買う。洋服が欲しいわけではなく、美しさや流行に乗っている満足感、異性からの注目を集めたくて買う。



これはマーケティングというよりも商売の基本となる大切な事柄です。そして、あることに気付くことになります。

今まで購入してきた物の中には、「買わされてきた」物があることに。

上の例だと「病気の友人が元気になって欲しい」ならば、花ではなく美味しいフルーツでもいいのです。むしろフルーツの方が効果的でしょう。ここでフルーツではなく、花を選択するところにマーケティングの罠があります。



消費者に満たされない欲求を植え付け、その欲求を満足させるような商品を目の前に並べたら、消費者は喜んで買うでしょう。次の欲求を植え付け・・・といったサイクルが繰り返されます。

何か心当たりはありませんか?例えば「ワンランク上の・・・」「夢のマイホーム」

植え付けられた欲求を満たすために日々働くなんて、誰だって嫌なはずです。しかし、現実には部分的であってもそうなっている人もいますし、私もそうだと言えます。

そこから抜け出す方法としては、自分の欲求が自然に湧いたものではなく、他の誰かから植え付けられている(ことがほとんど)と自覚することではないでしょうか。他の誰かとは、雑誌やテレビ、友人や家族などです。

そして、欲求を植え付けることが上手な人や業界にお金が集まり、マーケティングの成功と言えるのです。

自分の欲求や価値観でさえ、他の誰かの影響で作られたものだと思うと何を信じればよいか不安になります。私は、価値観とは確固たるものではなく、流動的であっても良いと考えるようになりました。「確固たる価値観」と言う考え方でさえ、誰かの受け売りでした。

-> アマゾンでの感想
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